■■■■■  島 民 募 集 ■■■■■

文・イラスト / 貴船庄二

この孤立した島の可能性を認識し 島を害わず
海を前に 活きた火山を背に 風に全身を曝し
胸に誇りを持って生きていける 貴方!



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 私  たち口永良部島は屋久島上屋久町の一地区となっていますが、 屋久島の西方約12kmに位置する、周囲45km、活火山を有した孤島です。
人口は平成5年11月現在173名、そのなかで幼児4名、 児童生徒12名、16〜39歳は男女合わせて16名と著しく高齢過疎の島です。
 昭和30年以前2千人を超す人口を抱えたこの島は、当時可能な限り開墾され、 半自給自足的な生活が営まれましたが、高度経済成長期をむかえ 逐次人口の流出に見舞われ、現在に到っています。

 島  は瓢箪型をしており、括れた部分に最も大きな集落本村を形成し、 南に面した大きな湾に港を有し、町営船第2太陽丸(2百トン)が 一日一便屋久島間を就航しています。 瓢箪の大きな部分のやや南よりに活火山新岳を有し、 周りは主に椎、松などの雑木で蔽われ、 海辺は断崖となって美しい景観を見せています。
開墾された北側は、島を去る人たちが杉や松を植え、 ある人たちは放置し、竹山と化し荒れた印象を与えますが、 海辺は険しく荘厳です。
海は温帯と亜熱帯の接点になっており、魚種、漁量とも大変豊富です。

 さ  て私たち口永良部島は児童生徒の確保を図ろうと、 教育振興推進協議会を設け、家族移転、孫もどし、山海留学等の 業務推進と、それに伴う住居・宅地農地・仕事の確保や広報に 努力をしていますが、空家は近年続く台風により破損し、 補修して入居できる家屋は数えるほどしかありません。 また宅地農地の取得は、島では所有名義の変更が等閑にされており 困難を伴いますが、気長く交渉すれば可能であると思います。 仕事は差し当たって公共事業等による人夫・作業員の職はありますが、 農林漁業及び牧畜等の仕事は、数年の定住を経て島の特性を把握した 時点で可能だと思います。 医療に関しては、医師は屋久島・鹿児島より定期診療として 島の診療所を訪れますが、看護婦は1名常駐しています。 緊急時にはヘリポートが整備されており、 救急患者は直接鹿児島の病院へ移送されます。

 島  民募集などと大見栄をきって呼びかけてはいますが、 正直なところ定住者の受け入れ体制はあまり整備されていないのが 実情です。 しかし一度この島を訪ねて戴き、貴方の目でしっかりと見て欲しいのです。 口永良部島は上屋久町の各地区とは異なり海を隔てており、 町行政の恩恵は後れがちであり、離島ゆえの不便さと無医地区の不安、 火山や台風などの災害の恐れを抱えていますが、豊富な温泉や魚貝、 美しい自然林と豊かな土壌の農地を有しています。

 今  私たち口永良部島が最も必要とするのは、この孤立した島の可能性を認識し、 島を害わず、海を前に、活きた火山を背に、風に全身を曝し、 胸に誇りを持って生きていける貴方です。
確かに立派な住宅も安定した仕事も用意されてはいません。 しかし是非一度この島を見にきてください。 滞在費は不要です。そして暮らしてみようかとお考えになれば、 私たちはできる限りのお手伝いをいたします。 訪ねて戴き、貴方の目でしっかりと見て欲しいのです。
そして暮してみようかとお考えになれば、 私たちはできる限りのお手伝いをいたします。 家の修理も皆で手伝います。野菜を作りたいと思われるなら 畑地を貸してくれる人を紹介します。 仕事が鳴ければ皆で作り出しましょう。

 現  在世界は自然と文明のアンバランスに呻吟しています。
口永良部島は目先の利益や安易さに補われず、自然と人間の調和を求め、 全世界の範となるべく、独自の文化を創り上げる条件を備えています。
そして今必要なのは貴方です。

連絡をお待ちしています。

鹿児島県熊毛郡上屋久町口永良部島
口永良部教育振興推進協議会
会長・貴船庄二



太陽丸から望む口永良部島

■ 連絡先 ■
上屋久町役場口永良部出張所 09974-9-2100
口永良部公民館          09974-9-2255
貴船個人宅(夜間)         09974-9-2213

EMAIL(取次):   cap87090@pop01.odn.ne.jp

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「口永良部島にユースホステルを作ろう」