赤ん坊の頃

■97/2

カンが生まれた頃のことは実は我家では 娘(奈緒子)しか知らないのだ。
当時私達は池田のマンション住まいで、娘は通学の為一人離れて下宿していたのだが ある日友達と一緒に道を歩いていて捨て犬を発見したそうだ。
4匹の兄弟がいっしょに箱に入れられ、その中で背中に"スター"と書かれてあった 一番上品そうなやつを自分で飼うことに決めたそうです。
なかには背中に"ラッキー"と書かれた犬もいて、捨てられたらラッキーちゃうやんと 思ったそうです。
ところで家はマンションでしたから動物を飼うことが禁止されていることは娘ももちろん知っており、 家に相談を持ちかけてもだめだと思い下宿先でこっそり飼い始めたというわけです。

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生後数週間:一日23時間寝ていた

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2ヶ月頃:下宿先で

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2ヶ月頃:無理やり立たせる

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2ヶ月頃:下宿の近所

ところが娘は4月に耳を化膿させ市大病院に入院するはめになり(全身麻酔の手術を受けた) それをきっかけに下宿先を引き払って家に帰って来ることになりました。
引越しの時は荷物の積み下ろしと車の運転は親父の私に仕事が回ってきましたが、 その時はまだ子犬を飼っていることは私にも言わず、 友達にしばらくあずかってもらっていたようです。
引越しが完了して一応やれやれと思っていたら、その翌日か翌々日の夜、 家に帰ってきたら子犬がくんくんいいながら 部屋の中をうろちょろしているではないですか。
一瞬、私は固まってしまいました。
「マンションでは飼えないんだぞ」と一応 弱々しく言ってみたものの、 いまさら捨てるわけにもいかず、 私も子供の頃には犬を飼ってみたかった思いもあってそれ以上何も言えず、 結局、生後3ヶ月目ぐらいから我家の一員として公認されてしまったわけです。

* * *

昨年9月、ここ宝塚に越してくるまで約1年半の間、マンション管理規約違反のまま、 ちょっと肩身の狭い思いをしながらなんとか育てて来たわけです。 はじめの頃こそ奈緒がなりがんばって面倒を見ていましたが、だんだん家族で 手分けして世話をするようになり、脚がしっかりしてかなり早く走れるようになってくると、 カンの散歩がいつのまにか、走ることの得意な私の役目に変わってきました。

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