無くて七癖


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「無くて七癖」という言葉がある。
カンの癖もその気になって数えて見れば七つぐらいはすぐに挙げられる。 表情が豊か、ジャンプ力、走力がすごいというのも特徴には違いないが、ここでは もうちょっと面白い癖を紹介しよう。

■その1: 内より外

散歩好き、ようするに出たがりだ。朝晩2回の散歩を楽しみにしているのは良いのだが催促の仕方が 半端じゃないから困ってしまう。
こちらが寝不足の朝でもおかまいなし、体内時計というやつなのか夜が明けるとほぼ決まった時間に 起こしに来る。
腕で体を突付いたり顔をなめたりしてる間はまだしもじっととぼけていると耳の穴に舌を突っ込みます。 こうなると大概アセリます。
それも振り払い布団の中でぐずぐずしてるとこんどは吼え始めます。
短い”ワン”、こいつは命令形。ついにはそれを何度も繰る返す。本気で叱ると諦めますがそのときゃもうこっちの目がさめてしまって眠れない。
夜(または夕方)も同じ。
散歩の時間が近づくとこちらの様子をじっと観察しはじめ隙をうかがう。
パソコンを終了させた瞬間とかイスの背もたれに寄りかかってため息をついた瞬間にすっと手を出して来る。 そこでちょっと甘い顔をしようものなら急に態度がでかくなり「早くしろ」と”ワン ワン”の連発だ。
食事の時も最後のお茶を飲みだすととたんに傍に寄っくる。それまではたいてい所定の場所(肘掛け椅子)でおとなしく待っているのだが、あっというまに性格が変わってしまう。
「リード!」と言えば喜び勇んでどこからか探して自分で持ってくるからげんきんなもんです。

■その2:餌には淡白

散歩の催促はしょっちゅうだが、餌をくれと催促された覚えはない。どちらかというと 痩せ型の体型なのでもっとしっかり食べてほしいのだが割合悠然としている。おやつも それほど喜ばないので、おやつで釣りながら芸をしこむようなことはどうも向いていないように思う。
良く食べられないものまで何でも口にいれて困るという話を聞くのだがカンに限っては 赤ちゃんの時に興味本位でなんでもかじったのは別としてその心配はほとんどない。
いつだったか、脱走を保護してくださった方から連絡を戴き迎えに行ったのだが、 「えさを与えても食べようとしません、賢い犬ですねえ」とお褒めいただいたが、なんのことはない欲しいのを自制したのじゃなくて別に欲しくなかっただけなのだ。
ドライフーズはあまり食べないので半生フーズをベースにしている。それに缶詰を混ぜて与えることが多いのだが、腹の立つことに安物はあまり食わない。(なんちゅうやっちゃ!)
最近では缶詰よりもレトルトパック(特に霧島地鶏)がお好みのようだ。 世話の焼けるやつである。家内が少々甘やかせ過ぎたのかも。

■その3:お出迎え

帰宅して玄関の扉に手を掛けるなり扉をこじ開けて隙間から出てきて飛びついてくれる。 吼えはしないが興奮して息遣いが荒い。 そんな時尾を振りまわすほうに神経が集中するのか耳はたいていだらしなく垂れている。
酒を飲んで午前様となりそろっと忍び込んでもカンだけはいつも玄関先で待っていてくれる、ありがたいことだ。
しかしここで奇妙な癖がある。出迎えてくれた後、興奮の余韻からか決してそのまま戻ろうとはしない。必ず下足箱の上のリードを探して咥えて持っていく、リードが無ければ玄関のスリッパを咥えて持っていく。持って行く先はたいてい居間のソファか食堂の肘掛イスの上だ。
これっていったい何なんでしょう?

■その4:「巣」作り

留守番というのはあまりありがたくない仕事らしい。
普段一人ずつ順番に外へ出かけるのはこれはまあ仕方がないと諦めているようだが、カン一人を置いて皆で出かけるとなるとやっかいだ。自分も連れて行ってもらえるのかと思って「ワン、ワン!」と喜ぶのだが「お留守番!」というと急にショボンとする。
門の外へでて振り返ると大抵ベランダの吐き出し窓から寂しそうな顔で覗いている。 「ヒーッ」という悲しそうな声が遠ざかる背中に突き刺さる時もあるがこれは無視! 振り向きもせずさっさと出かけるに限る。
そんなときに家に帰ると大変だ。寂しさを紛らわす為だろうか、あちらこちらから物品を 集めて来て「巣」を作りその中で寝ているのだ。
比較的多いのが寝巻き(トレーナー)や下着類、それにスリッパ、玄関から咥えて運んだランニングシューズ等、こんなもので安心できるの? 単なる枕代わり?

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■その5:脱走

男にとってとかく女の存在はやっかいだ。カンも雄犬、「色香」に血迷うことがある。そういう時期が年に数回めぐってくる、要注意だ。
こんな時に留守番でもさせようものならおちおちじっとしては居られない。
彼なりにあれこれと頭をしぼって女の尻を追っかける手立てを考えてるのだ。
 ・窓が開いていれば即ベランダの手摺を乗り越して飛び降りる。
 ・扉に鍵がかかっていないとドアの取っ手を操作し扉を開けて出て行く。
 ・地窓の面格子を噛み破ろうとする。
 ・障子をやぶる。
 ・出入り口の枠まわりに噛み付く。
この時期は犬格?が激変し、もうなんでも有り!おかげで我家はそう古くないにもかかわらず傷だらけだ。
普段は窓を開けていようが庭で遊ばせていようがおとなしいもので、こちらが庭掃除をしてる間も 近くに寝そべって道行く人にも愛嬌を振りまいているが、一旦こうなるとちょっとした隙を狙って外へ飛び出すのでもうほとんどお手上げ状態。
ただ、はっきりしてるのは、どんなに遅くまで出歩いても必ず帰って来ること、いまだに家を空けたことなしはありません。私より偉い!

■その6:車好き

車で酔う犬も多いらしいがウチのカンは大丈夫だ。一番長距離では九州の往復というのもあるが、このときでさえほとんど立ちっぱなしで流れる景色を楽しんでいた。
土曜もしくは日曜の晩には伊丹のおばあちゃん宅へ出かけることが多いが、そういう時は行動パターンを覚えてるのか、外へ出るなり車の脇でしゃがんでドアを開けてくれるのを嬉しそうな顔で待っている。
買い物に出かける時も判るようで(散歩の時間帯じゃないから)、これも車の脇で待っている。たまに勢い余って立ち上がり車のドアやガラスに前足を掛けて引っかいてくれるので油断がならない。
乗り込んでも後部座席でおすわりでもしていてくれたらこちらも安心できるのだけれど、たいてい助手席に(家内が居れば真ん中に)立ってきょろきょろ景色を見回している。 左のドアミラーが見難いのと急ブレーキを掛けると危ないのでけっこうひやひやものだ。
これは悪い見本ゆえ決して真似はしないように(^^;

■その7:風呂嫌い

風呂へ入れるときはちょっと苦労する。
風呂の気配を察すると呼んでもこない。 こちらが先にパンツ1丁になってからカンを抱き上げて連れて行くしかない。 したがってお風呂の頻度は少なくなってしまうのだが、外で泥水に浸かったとか、山へ連れて行ったときなどはダニが怖いので洗ったぐらいじゃ完全には取れないとは思うものの一応風呂に入れて洗ってやることにしている。風呂と言っても湯船に浸るのは暴れていやがるので シャワーだけだけれど。
拭くのは家内に任せることが多いが、家内が居ないときは先に脱衣場にバスタオルを2枚ほど敷いておくと、外へ出しても勝手にバスタオルの上に寝転がって体をこすり付けて拭いている。体をブルブルした後だから回りにも水は飛び散ってるけど。

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